書けないペン

電話のベルが鳴る。

学校の連絡網だ。めっきり家電は鳴らなくなったが、学校関係の連絡だと携帯の前にさきに家に電話がかかってくる。

あたふたと受話器をとる。

ぱっとあたりを見まわしてちらしの1枚を手にとって、メモろうとする。そこで置いてあったペンのキャップを指先ではじいて、いざ書こうとして、ちらしが破ける。

ペンのインクがないのだ!

あわてて先方にあやまりつつ、廊下の戸棚に走る。ペン立てがそこにある。だが取り出した1本が書けないときてる。チッと舌打ちして玄関に行く。玄関にあるペンは宅配などのサイン用でついこの間もサインしたばかりだからインク切れはないはずだからだ。

家中にペンはある。

だのに、そうしていざ必要なときになるとインクがなかったりする。書けてもかすれていたり、書き味がひどく悪かったりする。ペンを手にとって見てもインクはあるように見えるのがくせ者だ。たぶん古すぎてインクが固まってしまったのだろう。

そういうペンを、気づいたらすぐ捨てればいいのだ。

それが、できない。だいたいペンを手にしたときというのは何かをメモしたいときが多く、そういうときは急いでいるからダメなペンをペン立てに放り込むか、その辺に投げ出して(後で捨てよう)とか思っている。

だけど永遠に「あとで」がこない。投げ出したペンは書けなかったことをすっかり忘れた頃に拾われてペン立てに戻っている。

一大決心をして、電話のあと、家中のペン立てを確認してみた。

廊下の戸棚にメインのペン立てがあり、玄関にもあり、台所にも何本がペンをいれたトレイがある。

リビングのテレビのリモコンなんかをいれたカゴにもペンとはさみが入っている。

それらみーんな集めて、テーブルにずらりと並べた。

ちらしの裏に試し書きしていく。

でるわでるわ。

いや、インクじゃなくて。でてくるのは、書けないペンだ。

全く書けないものもあるが、書きづらくなったもの、最初は一瞬書けるのだがすぐインクがでなくなるものも多い。

捨てに捨てた。

バサっとまとめて捨てた。そうして見たら、わが家のペンはそれぞれのペン立てに数本ずつしか戻らなかった。

これではとっさのとき、偶然つかんだペンが書けない確率が高かったわけである。

というより書けるペンにあたったときのほうが「ラッキー」だったわけだ。

占いがわりのペン立てのペンだったのである。

新型ワゴンRスティングレー

たまにはコーラを飲みながら

会社が入っている建物の下に、100円の自動販売機があります。100円の割にはなかなかの品揃えなので人気があり、すぐに売り切れてしまいます。

よくわからないメーカーのものではなく、大手の飲料メーカーのものばかりが並んでいるのです。元々ジュースはあまり買わないのですが、たまに飲みたくはなります。

そんな時にあってよかったなと思う存在です。並んでいるものは定期的に変わるので、いつもチェックはしています。

いつもどういう基準で中に入るものが決まるのかはわかりませんが、今は普通のコーラも並んでいます。あの赤い、コカコーラです。1年に1度飲むか飲まないかです。

子どもの頃は「骨が溶けるから飲んじゃだめ!」と言われていましたが、なぜ胃に入ったものが骨を溶かすことになるのかいつも不思議でした。

結局は都市伝説を親も信じていたということですが、あの甘さと何が入っているかわからない不思議さが、骨を溶かすという迷信に繋がったのでしょう。

しかし刷り込みとは怖いもので、骨を溶かすのは嘘だとわかっていてもあまり飲まなくなるものです。決して体にいいものではありませんからね。糖分も多いですし。

あれを毎日のみ続ければ、骨は溶けずとも何かしら病気になってもおかしくないとは思います。やはりああいったものはたまに飲むから美味しいのです。

そんなことをデスクで考えていると、なんだか無性にコーラが飲みたくなってきてしまいました。

気がつくと100円を握り締めた自分が自販機の前に立っていました。他にも色々並んでいましたが、赤いコーラしか目に入っていませんでした。

ボタンを押すとルーレットが回ります。当たるともう1本というやつですが、ここでなんと当たりを引いてしまいました。いきなり当たると結構慌てます。

何にしようか悩んでいるとリミットが近づいてきてさらに焦ります(笑)結局コーラをもう1本押してしまいました。

当たったコーラを同僚の男性にあげて、私は自分のマグカップにコーラを入れて飲みました。氷があるとさらにおいしいのですが、贅沢はいってられません。

久しぶりに飲んだコーラはしゅわしゅわで懐かしい味がしましたね。飲んじゃいけないと言われた味は、あれから何年経っても変わらないものです。

たまにはコーラもいいものだなと思いました。